新規開拓営業とルート営業の違いとは?仕事内容・きつさ・向いている人・転職の選び方

朝9時 ある営業担当者は、まだ取引のない企業へ電話をかけ始めます。
訪問の約束を取り、初めて会う担当者に商品を紹介し、商談の機会をつくる。新しい顧客との接点を生み出すことが、その日の重要な仕事です。
一方、別の営業担当者は、長年取引のある顧客を訪問します。
現在の利用状況を確認し、追加注文の相談を受け、新商品の提案を行う。既存顧客との取引を維持・拡大することが、日々の仕事の中心です。
前者は新規開拓営業、後者はルート営業の典型的な仕事の一場面です。
※上記は仕事内容を説明するための架空の場面です。
どちらも営業職ですが、日々の行動、成果を出すための工夫、顧客との関係構築の方法には違いがあります。
また、「ルート営業なら楽」「新規開拓営業の方が稼げる」といったイメージだけで転職先を選ぶと、入社後にギャップを感じる可能性があります。
この記事では、新規開拓営業とルート営業の違いを仕事内容から整理し、それぞれの難しさ、身につくスキル、向いている人の特徴、転職先を選ぶ際の注意点まで解説します。
1. 新規開拓営業とルート営業の基本的な違い
まずは、2つの営業スタイルの特徴を整理しましょう。
比較項目| 新規開拓営業| ルート営業 主な顧客| 取引のない新規顧客| すでに取引のある既存顧客 主な目的| 新規顧客の獲得| 取引維持・追加提案・関係強化 主な活動| 電話、メール、訪問、紹介、問い合わせ対応など| 定期訪問、状況確認、追加提案、契約更新など 商談の特徴| 信頼関係を一から構築する| 既存の関係を活かしながら提案する 成果指標の例| 新規商談数、新規契約数、新規売上| 継続率、既存売上、追加受注、顧客単価 難しさの例| 接点獲得、初回商談、競合との差別化| 関係維持、価格交渉、取引拡大 身につくスキルの例| 新規顧客開拓、初回提案、仮説構築| 顧客管理、深耕営業、継続提案
※実際の業務内容や評価指標は、企業・業界・商材によって異なります。
なお、企業によって「ルート営業」という言葉の意味は異なります。
決まった取引先への定期訪問を中心とする場合もあれば、既存顧客への提案営業や追加受注まで担当する場合もあります。
そのため、求人票にルート営業と記載されていても、具体的な仕事内容を確認することが重要です。
2. 新規開拓営業の仕事内容|ゼロから顧客を獲得する仕事
新規開拓営業の役割は、まだ取引のない顧客との接点をつくり、契約につなげることです。
営業活動は、一般的に次のような流れで進みます。
見込み顧客の選定 → 接点の獲得 → 課題の把握 → 提案 → 条件調整 → 契約
ただし、すべての工程を一人で担当するとは限りません。
例えば、営業組織によっては、見込み顧客との接点づくりをインサイドセールスが担当し、商談以降をフィールドセールスが担当する場合があります。
新規開拓の方法は飛び込み営業だけではない
新規開拓営業というと、電話営業や飛び込み営業をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、顧客との接点をつくる方法は多様です。
- 電話によるアプローチ - メールによる提案 - 問い合わせへの対応 - Web広告や資料請求からの商談化 - セミナーや展示会での顧客獲得 - 既存顧客や取引先からの紹介
企業によっては、営業担当者自身が見込み顧客を探す必要があります。
一方、マーケティング部門が獲得した問い合わせをもとに商談を進める仕事もあります。
同じ新規開拓営業でも、顧客獲得の仕組みによって日々の業務は大きく異なります。
新規開拓営業で身につくスキル
新規開拓営業では、相手に自社の商品を知ってもらう段階から関わるため、次のような能力を磨く機会があります。
① 仮説構築力
顧客がどのような課題を抱えているかを考え、アプローチの方法を組み立てる力です。
② 初回商談力
まだ関係性のない相手に対して、短時間で目的を伝え、関心や課題を把握する力です。
③ 提案力
顧客の課題と商品・サービスの価値を結びつけて説明する力です。
④ 営業活動の改善力
アプローチ件数、商談化率、受注率などを振り返り、営業方法を改善する力です。
こうした能力は、他の営業職でも活かせる可能性があります。
ただし、実際にどの程度身につくかは、担当業務や教育環境によって異なります。
3. ルート営業の仕事内容|既存顧客との取引を育てる仕事
ルート営業では、すでに取引のある顧客を担当し、継続的な関係を築きながら営業活動を進めます。
代表的な業務には、次のようなものがあります。
- 既存顧客への定期訪問 - 商品やサービスの利用状況の確認 - 追加注文や新商品の提案 - 契約更新に関する調整 - 納期や価格などの条件調整 - 顧客からの問い合わせ対応
業界によっては、商品の納品や在庫確認なども担当する場合があります。
ルート営業は単なる御用聞きではない
既存顧客との取引を維持するだけでなく、顧客の新しいニーズを発見することも重要な役割です。
例えば、ある企業に消耗品を納入している営業担当者が、訪問時に別部署での利用ニーズを把握したとします。
その情報をもとに追加提案を行えば、既存顧客との取引を拡大できる可能性があります。
このように、顧客との関係を深めながら新たな取引機会を見つける活動は、深耕営業とも呼ばれます。
ルート営業で身につくスキル
ルート営業では、継続的な顧客対応を通じて、次のような能力を磨く機会があります。
① 関係構築力
顧客との約束を守り、継続的に信頼を積み重ねる力です。
② 顧客管理力
担当顧客の取引状況、課題、今後の予定などを整理する力です。
③ 課題発見力
日常的な会話や取引状況から、新しいニーズを把握する力です。
④ 調整力
納期、価格、社内の対応部門など、複数の条件を調整する力です。
既存顧客を担当する仕事であっても、単に訪問を繰り返すだけでは成果につながらない場合があります。
顧客にどのような価値を提供できるかを考えることが重要です。
4. 新規開拓営業とルート営業はどちらがきつい?
営業職への転職を考える際、「どちらの方がきついのか」は気になるポイントでしょう。
ただし、仕事の負担は、営業スタイルだけで決まるものではありません。
ここでは、それぞれの仕事で負担になりやすい場面を整理します。
新規開拓営業で負担になりやすいこと
新規開拓営業では、顧客との接点を獲得する段階で断られることがあります。
特に、自分から電話や訪問を行う営業では、商談につながらない状況が続く場合もあります。
また、毎月新しい顧客を獲得する必要がある仕事では、継続的な案件創出が求められます。
一方、問い合わせ対応を中心とする新規営業では、顧客との接点をつくる負担が比較的小さい場合もあります。
ルート営業で負担になりやすいこと
ルート営業では、顧客との関係を維持する責任があります。
例えば、納期の遅れや商品に関するトラブルが発生した場合、営業担当者が調整役を担うことがあります。
また、既存顧客の取引額が減少した場合、原因の把握や改善提案が必要になることもあります。
取引が継続しているからといって、成果が保証されるわけではありません。
負担を判断するための4つの質問
転職先を検討する際は、次の点を確認しましょう。
1. 新規顧客と既存顧客の担当割合はどのくらいか 2. 営業目標は何を基準に設定されるか 3. 営業担当者が顧客対応以外に担う業務は何か 4. 成果を出すための教育・支援体制はあるか
「新規開拓だからきつい」「ルート営業だから楽」と判断せず、具体的な業務内容を確認することが大切です。
5. どちらが稼げる?年収を左右する本当の要因
新規開拓営業とルート営業では、給与体系に違いが見られることがあります。
例えば、新規契約の獲得に応じてインセンティブが支給される企業もあります。
一方、ルート営業でも、担当顧客の売上拡大や利益目標の達成に応じて評価される場合があります。
そのため、新規開拓営業の方が必ず高年収になるとは言えません。
年収を比較する際は、次の要素を確認しましょう。
項目| 確認する内容 基本給| 毎月の固定給与 賞与| 支給条件と評価基準 インセンティブ| 支給対象となる成果 担当顧客| 顧客数・規模・取引金額 営業目標| 目標設定と評価方法 昇格制度| 役職と給与の関係
特に、求人票に高い年収例が記載されている場合は、その金額がどのような成果や条件に基づくものなのか確認することが重要です。
また、現在の営業経験が転職市場でどのように評価されるかは、商材、顧客層、実績、専門性などによって変わります。
6. 自分に向いている営業スタイルを考える
ここでは、2つの営業スタイルに対する関心を整理してみましょう。
次の質問に対して、どちらの仕事に魅力を感じるか考えてください。
ケースA:まだ関係のない顧客に提案する
初めて会う顧客に商品を紹介し、関心を持ってもらうために工夫する。
その過程にやりがいを感じる場合は、新規開拓営業に関心があるかもしれません。
ケースB:同じ顧客と継続的に関わる
顧客の状況を理解し、時間をかけて信頼関係を築きながら提案する。
その過程にやりがいを感じる場合は、ルート営業に関心があるかもしれません。
ケースC:成果を数字で分析する
アプローチ数、商談化率、受注率などを分析し、営業活動を改善する。
こうした仕事は新規開拓営業で経験することがありますが、既存顧客営業でも数値管理は重要です。
ケースD:顧客の変化に気づく
継続的な会話から、顧客が抱える新しい課題を発見する。
こうした活動は、既存顧客との関係を深める営業で活かせる可能性があります。
ただし、これらは営業スタイルへの関心を整理するための例であり、適性を判定する正式な心理検査ではありません。
実際の仕事への適性は、経験、スキル、職場環境なども踏まえて考える必要があります。
7. 新規開拓からルート営業へ転職するときのポイント
新規開拓営業を経験した人がルート営業へ転職する場合、これまでの経験をどのように活かせるかが重要です。
例えば、新規開拓営業で培ったヒアリング力や提案力は、既存顧客への追加提案でも役立つ可能性があります。
一方、継続的な顧客管理や社内調整など、新たに求められる業務もあります。
転職理由の伝え方の例
「現職では新規開拓営業として、顧客の課題を把握し、提案する経験を積んできました。今後は、契約後も継続的に顧客と関わり、課題の変化に応じた提案を行う仕事に挑戦したいと考えています。」
※上記は架空の回答例です。実際の経験と希望に合わせて調整してください。
このように、現在の経験と今後取り組みたい仕事を結びつけると、転職目的を説明しやすくなります。
ただし、ルート営業でも新規開拓を担当する場合があるため、応募先の業務内容を確認しましょう。
8. ルート営業から新規開拓へ転職するときのポイント
ルート営業から新規開拓営業へ転職する場合も、これまでの経験を活かせる可能性があります。
例えば、既存顧客への提案を通じて身につけた課題把握力や商品知識は、新規顧客への提案でも役立つことがあります。
一方、新規顧客との接点づくりや初回商談など、経験していない業務への対応が必要になる場合もあります。
転職活動で整理しておきたい経験
- 担当していた顧客数 - 顧客への提案内容 - 追加受注や契約更新の実績 - 顧客の課題を解決した経験 - 自分で考えて改善した営業活動
実績を説明する際は、確認できる数値や事実を使用しましょう。
また、新規開拓営業に挑戦する場合は、入社後の教育制度や営業活動の支援体制も確認することをおすすめします。
9. 求人票の「ルート営業」で必ず確認したいこと
ルート営業の求人には、仕事内容が大きく異なるものがあります。
例えば、次のようなケースです。
ケース① 定期訪問中心のルート営業
決まった取引先を訪問し、商品の注文確認や納品調整を行う仕事。
ケース② 提案中心のルート営業
既存顧客の課題を把握し、新商品や追加サービスを提案する仕事。
ケース③ 新規開拓を含むルート営業
既存顧客を担当しながら、新しい取引先の開拓も行う仕事。
これらは一般的な仕事内容を説明するための分類であり、すべての企業が同じ区分を使用しているわけではありません。
転職後のミスマッチを防ぐために、面接では次の質問をしてみましょう。
「既存顧客への対応と新規開拓の割合は、どのくらいでしょうか?」
「営業担当者の評価は、主にどのような指標で決まりますか?」
「担当顧客への提案以外に、納品や問い合わせ対応などの業務はありますか?」
「入社後はどのような研修や営業同行がありますか?」
求人票の名称だけで判断せず、実際の仕事を具体的に理解することが重要です。
10. 20代の営業キャリアでは、どちらを選ぶべきか
20代のうちに新規開拓営業を経験した方がよいのか、それともルート営業で専門性を高めた方がよいのか。
この問いに、すべての人に共通する正解はありません。
新規開拓営業では、新しい顧客との接点をつくり、商談を進める経験を積む機会があります。
ルート営業では、顧客との継続的な関係を通じて、課題発見や取引拡大の経験を積む機会があります。
どちらも、営業職としての専門性を高めるために役立つ可能性があります。
大切なのは、営業スタイルの名称ではなく、自分がどのような能力を伸ばしたいのかを明確にすることです。
例えば、将来的に新規事業の営業や新しい市場への提案に携わりたいのであれば、新規顧客を開拓する経験が役立つかもしれません。
一方、重要顧客との長期的な関係構築やアカウントマネジメントに関心がある場合は、既存顧客を深く担当する経験が役立つ可能性があります。
ただし、どちらのキャリアにも例外があり、実際の業務内容によって経験できることは異なります。
営業スタイルだけでなく、自分の適性も整理しよう
営業職には、新規開拓営業やルート営業のほかにも、法人営業、個人営業、インサイドセールス、フィールドセールスなど、さまざまな働き方があります。
そのため、自分に合った仕事を考える際は、営業スタイルを一つの観点として捉えることが重要です。
Sales Career+では、20代営業職のキャリア形成を支援するため、適職診断や市場価値診断などを提供しています。
現在の経験や自分の特徴を整理し、これからどのような営業職に挑戦したいのか考える際の参考にしてみてください。
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※診断結果はキャリアを考えるための参考情報であり、特定の営業スタイルへの適性や将来の成果を保証するものではありません。
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まとめ|新規開拓営業とルート営業は、どちらも専門性を磨ける仕事
新規開拓営業は、新しい顧客との接点をつくり、契約につなげる仕事です。
ルート営業は、既存顧客との関係を維持・強化し、継続的な取引や追加提案につなげる仕事です。
それぞれに異なる難しさがあり、身につくスキルにも特徴があります。
しかし、どちらが必ず楽、どちらが必ず稼げるということではありません。
転職先を選ぶ際は、顧客の特徴、営業方法、評価制度、教育環境などを具体的に確認しましょう。
20代の営業キャリアで重要なのは、営業スタイルの名前ではなく、その仕事を通じて何を経験し、どのような力を身につけられるかです。
自分の希望するキャリアを整理し、納得できる営業職を選んでいきましょう。
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著者:Sales Career+編集部
本記事は営業職の仕事内容やキャリア選択に関する一般的な情報を整理したものです。実際の業務内容、給与制度、採用条件は企業・求人によって異なります。


